武術の「脱力」は、なぜ最強なのか。
今日の稽古で、ふと腑に落ちた感覚があったんですよ。 武術をやってると、耳にタコができるほど言われるのが「自然体が大事だ」「脱力しろ」っていう言葉。 でも、これって初心者の頃は「力を抜いたら弱くなるんじゃないか?」って、どうしても疑っちゃうところなんですよね。筋肉を固めて、ガチッと構えた方が強そうに見えるじゃないですか。 ところが、実際に手を叩かれたり、不意に動かされたりしたときに、その正解がはっきりとわかる。 無駄な力が入っていない「ゼロ」の状態だと、打たれた瞬間に、手は勝手に元の位置へ戻ろうとするんです。
この「復元力」こそが、次の動作への圧倒的なスピードを生む。
結局、速さの正体は筋肉の瞬発力だけじゃない。
「元の状態にどれだけ速く戻れるか」という、システムとしての合理性なんですよね。
「力み」という名のブレーキ
逆に、最初から肩や腕に力が入っていると、どうなるか。 外から衝撃を受けたとき、その緊張が「壁」になっちゃうんです。 固まっているから、元の状態に戻ろうとする動きを自分自身の筋肉が邪魔してしまう。 動きが「ぎこちなく」なるのは、出力が足りないからじゃなくて、自分の入れた力が「ブレーキ」として作用しているから。 これって、すごく皮肉な話だと思いませんか。 「強くあろう」として入れた力が、結果として自分を縛り、反応を遅らせている。脱力とは、単に休んでいることじゃない。 「最も合理的に、かつ最短ルートで動くための準備」を整えることなんだ。最初から100の力が入っているところから101を目指すより、0の状態から動く方が、実は結果として「速い」し「強い」。 この逆転の発想が、武術の面白いところであり、物理的な真理なんだなと痛感しました。
