武術創造 DIY・AI研究所
武術創造 DIY・AI研究所 BUJUTSU-CREATION-DIY-AI LAB

第7話

「方程式」が通用しない場所:救急救命病院での挫折

国立の養成校に入り、最初の頃は順調でした。学校の勉強は「AならばBになる」という方程式の世界。一生懸命やれば、それなりの成績でついていけた。 しかし、3年目。実際の病院へ行く「実習」が始まった時、私のメッキは剥がれ落ちました。

私が行ったのは、救急救命病院。 漫画『ブラックジャックによろしく』で、主人公が夜間の救急現場で何もできずにパニックになるシーンがありますが、まさにあの時の心境です。

目の前にいるのは、脳卒中で倒れ、意識もなく、言葉も発せられない患者さん。 学校で習った「関節可動域を測りましょう」「筋反射を見ましょう」なんてマニュアルが、一体何の役に立つのか。 医者のカルテですら「原因はよく分からんが、おそらく脳卒中」という程度の記述。そんな曖昧な状況でリハビリのオーダーを出されても、自分に何ができるというのか。

「昨日までリハビリに携わっていた人が、今日、突然いなくなる。……ああ、人って本当に死ぬんだなと」

一番ショックだったのは、死が日常のすぐ隣にあることでした。 昨日まで温かかった体が、今日はもう物言わぬ塊になっている。それを見つめるご家族の悲痛な姿。 その圧倒的な現実を前にした時、私の中の何かが音を立てて壊れました。

自分に何ができる? そもそも生きているとはどういうことなのか? 「指一本動かせること自体が、とてつもない奇跡じゃないか」 そう考え出したら、もう生きること自体が苦しくて、苦しくて仕方がなくなってしまった。

理屈で納得したい自分の「理系脳」が、医療現場の「割り切れない生と死」に直面して、完全にフリーズしてしまったんです。 人一倍、他人に気を遣い、感受性が強かった当時の私にとって、その葛藤は耐えられる限界を超えていました。

こうして私は、3年まで通った専門学校を辞めることになります。 大学中退、そして専門学校も中退。 履歴書はさらにボロボロになり、私は再び「レールの外側」へと放り出されることになったのです。