武術創造 DIY・AI研究所
武術創造 DIY・AI研究所 BUJUTSU-CREATION-DIY-AI LAB

第8話

「半端者」の居場所:土建の現場と、削り取られたモラトリアム

とにかく、あの苦しさから楽になりたかった。 その一心で、私は国立の養成校を中退しました。けれど、現実は甘くありません。大学を中退し、さらに専門学校まで中退した男。バブルが崩壊し、就職氷河期へと突き進んでいた当時の社会において、それは「まともな経歴」ではないというレッテルを貼られることを意味していました。

当時はまだ「自分探し」だの「モラトリアム」だのという言葉が許容される空気もありましたが、それはあくまで「いつかはレールに戻る」ことが前提の話。私のように、戻るべきレールそのものを自ら粉砕してしまった人間を、社会は簡単には受け入れてくれませんでした。

そうなると、行き着く先は一つしかありません。 圧倒的な人手不足で、経歴よりも「今、ここで動ける体」を必要としている業界——土建業、そして工場の現場です。

「スーツを着て社会を動かしているフリをする仕事が人気なのは、今も昔も変わらない。私はその裏側、泥にまみれる場所に身を置くしかなかった」

今でも、若い子がホワイトカラーを求めて、土建や工場の現場を避ける傾向は変わりませんね。足りない分を外国人労働者で埋めるような今の社会のあり方を、私はあまり好きにはなれません。でも、当時の私もまた、その「社会の底」と言われる場所にしか、自分の居場所を見つけられなかった。

2度のドロップアウトを経て、さすがに親からも「もうお前なんか知らん、勝手にしろ」と突き放されました。 甘えはもう許されない。経済的に自立しなければ、文字通り生きていけない。

理屈やプライド、きれいな経歴……そんなものを全部かなぐり捨てて、私は現場へと足を踏み入れました。 それが、私にとっての「職人」という生き方への、最初の第一歩だったとは、当時はまだ知る由もありませんでした。

とりあえず、働かせてくれる場所がある。それだけで十分だった。 そこから始まった「現場」の生活が、私にどんな武器を与えてくれたのか。続きをお話しします。