武術創造 DIY・AI研究所
武術創造 DIY・AI研究所 BUJUTSU-CREATION-DIY-AI LAB

第21話

「七五三」の所長と、大嫌いな法律という武器

所長になって一番困ったこと。それは、これまでの私の経歴の中に「客先との折衝」なんて経験が一秒もなかったことです。

スーツ姿なんて、今でも全く似合いません。講師をやっている今ですら、鏡を見れば「七五三かよ」と自分で突っ込みたくなる。全く柄じゃないんです。 でも、現場を預かる以上、お客さんとの交渉は避けて通れません。こちらの言い分を通すにも、相手の要望を整理するにも、「法律的な根拠」がなければ話が前に進まないんです。

「法律なんて、結局は人が決めた屁理屈ですよ。でも、社会という戦場で戦うには、その屁理屈を使いこなすしかなかった」

正直、法律関係の勉強は大嫌いです。それでも、必要に迫られて「管理業務主任者」などの資格にも手を出しました。別にマンション管理の仕事がしたいわけじゃない。ただ、現場を守るための「盾」として、その知識が必要だっただけです。

地域の会合やビルの打ち合わせに出向くと、さらに別の絶望が待っていました。 こちらは設備の実態を把握した上で話しているのに、相手には全く話が通じない。向こうは「書類をきれいに片付けること」のプロではあっても、現場の物理的なリスクには無頓着。 そんな相手に、私がいちいち「理屈」で突っかかっていくもんだから、いらん敵を増やしたことも一度や二度じゃありません。

「技術」だけでは、組織という化け物には勝てない。 かといって「法律」や「形式」だけでは、建物は守れない。 その板挟みの中で、私は「職人の魂」を抱えたまま、無理やり「管理者の仮面」を被って戦い続けていました。

技術、資格、法律、そして投資。 あらゆる武器を揃え、戦い抜いた先に、ようやく「自分の足で立つ」という本当の自由が見えてきました。