「電験三種」と現場のリアル:理屈を追い求めた半年の記録
ビル管理の現場において、電気は切っても切れない存在です。今の建物は電気が止まればただの箱。多くのビルは電気保安協会などの専門機関が管轄していますが、トラブルの際に彼らがすぐに駆けつけられるとは限りません。
現場の責任者として、不測の事態に「何も分かりません」では話にならない。その危機感から、私は電気分野の知識習得に励みました。その過程で挑んだのが「電験三種(第三種電気主任技術者)」です。
正直、これまでの資格は1ヶ月か2ヶ月もだらだら勉強していれば取れるレベルのものでした。しかし、電験だけは勝手が違った。難しいことは最初から分かっていましたが、「なぜそうなるのか」という理屈が腑に落ちないと気が済まない性格もあり、この時ばかりは半年間、腰を据えて勉強と向き合うことになりました。
「理屈がわかっていないと、正しいオペレーションは取れない。たとえ実務で使う機会が限られていても、中身を知らずに運用することは私には許せなかった」
ただ、苦労して資格を取ったからといって、現場でその高度な理論を振るう機会が毎日あるわけではありません。むしろ、せっかく身につけた知識も、実際のオペレーションで活かせる場面は意外なほど限られていました。
それでも、電気の理論を紐解いた経験は無駄ではありませんでした。電気という「核」を理解したことで、空調、給排水、消防設備といった他の設備も、すべては一つの巨大なシステムを構成する断片に過ぎないと気づけたからです。
「資格マニア」になりたかったわけじゃない。 ただ、現場で自分の足で立ち、何が起きているかを自分の頭で判断したかった。そのための「根拠」を求めた結果、気づけば手元に数えきれないほどの免状が積み上がっていた。それが、職人としての私の戦い方でした。
こうして手に入れた「技術」と、並行して続けていた「投資」。 この両輪が、やがて私を「組織からの解放」へと導くことになります。
