武術創造 DIY・AI研究所
武術創造 DIY・AI研究所 BUJUTSU-CREATION-DIY-AI LAB

第19話

入社1年目の所長就任:積み残された課題と業者との対峙

現場の空気というのは正直なものです。 本来の所長を飛び越えて、私に直接お客さんから相談が来る。そんな状態が続けば、組織としてのバランスは崩れます。会議に呼ばれるのも私、頼られるのも私。

結局、お客さんからの要望もあり、入社して1年足らずで私が「所長」を引き継ぐことになりました。前任の所長は現場のボイラー運転員に戻るという、異例の交代劇でした。

腰掛けのつもりで入った世界で、いきなり「現場の顔」として責任を負う立場になった私を待っていたのは、想像以上にずさんな現状でした。特に、行政関係や消防関係の届け出・手続きが全く片付いておらず、まずはその「積み残し」を一つずつ処理することから始めなければなりませんでした。

「専門業者といえども、提案がコストに見合っていなかったり、作業が手抜きだったりすることも珍しくない。それを見逃せば、最後には私の責任になる」

業者は自分たちの都合や利益を優先して提案してきます。しかし、現場の予算も設備の寿命も有限です。コスパを無視した過剰な提案や、逆に手間を惜しんだ手抜き作業。それらを見抜き、ダメ出しをして正していくのが私の仕事になりました。

「このままでは、業者の言いなりで現場の質が落ちていく。自分がもっと詳しくなって、彼らの理屈の穴を埋めるしかない」

現場の責任者として、何かあれば「業者のせいです」では済まされません。行政への不備も、業者のミスも、すべては私の管理不足として問われます。この逃げ場のない実務上のプレッシャーが、私を知識習得へと向かわせました。

「騙されないためには、実務の裏側にある理屈を知るしかない」 こうした日々の不備や業者とのやり取りをこなしていく中で、より深い知識の必要性を感じ、私は『電験三種』などの試験にも取り組むことになったのです。

ここから、日々の現場対応と並行して、電気理論を学び直す時間が始まりました。