武術創造 DIY・AI研究所
武術創造 DIY・AI研究所 BUJUTSU-CREATION-DIY-AI LAB

第11話

「お前の会社、潰れるぞ」:厚生年金の喜びを打ち砕く宣告

現場で泥にまみれて働き続けるうちに、ようやく会社も私のことを認めてくれるようになりました。「お前、そろそろ社員になれ」と言ってもらえた時は、本当に嬉しかった。

それまで厚生年金なんて縁のない生活でしたから、会社が手続きをしてくれた時、ようやく「自分も世間並みの、一人前の形になれたんだ」としみじみ感じたのを覚えています。ボーナスなんてなくても、その「形」だけで十分だった。

そんな矢先のことです。 いつものように現場に出向いた私を、総監督が事務所に呼び出しました。

「いいか、ここだけの話にしておけよ。お前の会社、もうすぐ潰れるぞ。準備しておけ」

深刻な顔でそう告げられました。総監督は、私が真面目に働く姿をずっと見てくれていた人です。「お前はよくやってる。だから教えるんだ。明日からの振る舞いを自分で考えろ」と。

実は、その時点で給料はすでに2ヶ月未払いでした。 日給月給で日銭を稼いでいる仲間たちの顔が浮かびました。彼らにとって会社が消えることは、明日食うものがなくなることを意味します。

総監督は「今日はもう来たことにしておくから、現場はいい。帰って自分の準備をしろ」と、情けをかけてくれました。 その足で会社に問い合わせても「そんな話はない」と否定される。でも、私は自分を認めてくれた現場の人の言葉を信じました。

会社は嘘をつくが、現場の信頼関係は嘘をつかない。 私は会社を問い詰めながらも、こっそりと自分の勤務実態のデータだけは確保しました。 「またレールの外側に放り出されるのか」という恐怖と、生き延びるための冷徹な計算。その両方を抱えながら、私の「会社員生活」は唐突に終わりを迎えようとしていました。

こうして始まった倒産劇。 手元に残ったのは、20万円にも満たない貯金と、未払いの給料。 絶体絶命の私が次に向かった場所は、「大工」の道でした。